フランスで買ったワインやシャンパーニュを、
を、筆者の経験を交えつつ紹介します。
現地で購入したワインを持ち帰るにあたり、悩ましいポイント(費用、重さ、スペース)は人それぞれでしょう。
フランスを旅するワイン好きの方なら直面するであろう「フランスで買ったワインをどうやって日本に持ち帰るか問題」に向き合います。
知っておきたいこと3つ
フランスで購入したワイン・シャンパーニュをどう日本に持ち込むか?という本題に入る前に、知っておいた方が良い次の3つの事柄を簡単に説明します。
- フランスの免税手続
- 日本の免税範囲
- ボトルの重さの目安
フランスでの免税
フランスにおいて、ワインには20%の付加価値税(TVA=Taxe sur la valeur ajoutée)が課されています。
しかし、日本人旅行者(日本在住で16歳以上、フランスの滞在期間は6ヶ月未満)がフランスで購入したワインを日本に持ち帰る場合、免税の対象となります。
免税にする方法は次の3パターンです。
(おすすめ度) | 免税方法ワインへの対応 | |
免税販売 ◯ | 販売者 | 20%免税価格で販売、発送する →発送する場合、免税価格販売に対応できる販売者は多い |
購入者 | 20%免税価格で購入する | |
免税書類 △ | 販売者 | 通常価格で販売、免税書類を作成する →免税書類を作成しない(できない)販売者は多い |
購入者 | 通常価格で購入、自力で持ち帰る 免税書類(返金率12%)を使って、出国時に免税手続きを行う | |
免税手続アプリ ◎ | 販売者 | 通常価格で販売、請求書を作成する →購入者が依頼すれば作成してくれる |
購入者 | 通常価格で購入、自力で持ち帰る 免税アプリ(返金率13%)を使って、出国時に免税手続きを行う |
ワインの発送を希望する場合は、免税価格で購入できるかを販売者に必ず確認しましょう。
ワインを自力で持ち帰る(飛行機の預け荷物にするなど)場合は、免税手続アプリの使用をおすすめします。
免税手続アプリをおすすめする理由は2つあります。
- 免税書類の作成に対応している店が少ない
- 免税書類の作成は販売者にとって義務ではないため、対応できない場合が多い
- 免税手続アプリを使えば、購入者の意思で免税手続きを進めることができる
- 免税手続きアプリを使った方が免税書類よりも返金率が高い
- 免税書類の返金率:12%
- 免税手続アプリの返金率:12.08%〜14.99%(ZappTaxの場合。購入合計金額による)
免税手続きアプリ「ZappTax(ザップタックス)」をおすすめします。
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アプリは日本語に対応していませんが、使い方を理解すれば大丈夫です。詳しくは別記事をご覧ください。
日本の免税範囲
成人が日本に持ち込める酒類の免税範囲は3本(760ml/本)までです。
次の合計ボトル本数が4本以上を上回る場合は、関税を支払う必要があります。
- 飛行機に手荷物として持ち込んだ「携帯品」のボトル
- 海外から送る手配をした「別送品」のボトル
ワインにかかる税率は、200円/リットルです。
通常のワインボトル750mlで計算すると、免税範囲の超過分1本あたりにかかる関税は150円です。
例)旅行者1名がワイン5本(0.75L / 本)を携行して帰国した場合:
- 3本は免税
- 2本の関税は300円(=200円x0.75リットルx2本)
「ワインは3本までしか買えない!」と思っている方がいますが、日本での免税範囲が3本というだけです。
ボトルの重さの目安
ボトルを送るにせよ、飛行機の手荷物として持ち帰るにせよ、ワインボトルの重さは気になるところです。
荷造りをする際に、ボトルのおよその重さを知っていると便利です。
- スティルワイン(非発泡性ワイン。一般的な赤・白・ロゼワイン) 1,5kg
- シャンパーニュ(発泡性ワイン) 1,7kg
シャンパーニュの重さ1,7kgは、筆者も業務で使用する値です。ただし、特殊な形状の瓶の場合、もう少し重くなることがあります。
配送料・追加荷物料金の概要
フランスで購入したワイン・シャンパーニュを日本に持ち込む際に、主な配送・輸送手段として考えられる次の5社の費用を表にまとめました。
- 日本へのワインの配送が可能な配送業者2社(欧州ヤマト、郵便局)
- 日本・パリ間の直行便を運行している航空会社3社(日本航空、全日空、エールフランス)
配送業者 | 航空会社料金 | 備考 |
日本航空 (JAL) | 2万円 | |
全日空 (ANA) | 150€ | |
エールフランス (Air France) | 150€ / 300€ | 無料荷物1個(23kg)がある状態で荷物1個(23kg)を追加する場合は、150€。それ以外は300€。それぞれ事前予約は20%割引。 |
クロネコヤマト 「ワインダイレクト」 | 225€ | 12本 (パリ支店発、通常便) |
郵便局 | 78€ | 4本 ※7kg箱を購入した場合 |
費用だけで単純に判断できないかもしれませんが、とはいえ費用は気になるところです。
ざっくりとしたコストがわかったところで、次項から自力で持ち帰る方法とワインを送る方法を詳しく説明します。
ワインを日本に【持ち帰る】
フランスで買ったワイン・シャンパーニュを、搭乗する飛行機に一緒に載せて、日本に持ち帰る方法を説明します。
大前提として、飛行機にワインボトルを持ち込む場合は、当たり前ですが「預け荷物」にする必要があることを知っておきましょう。
「当たり前」と思うかもしれませんが、海外旅行経験のある方でも、海外でのワイン購入初心者がやりがちなミスです。機内持込可能な液体のサイズは100mlまでと知っているにもかかわらず、シャンプー・化粧品では守っているにもかかわらず、ワイン瓶(750ml)を機内手荷物として持ち込んでしまう方がいます。残念ですが、ボトルはセキュリティで「没収」されてしまいます。気を付けてください。
せっかく購入したボトルが割れてしまっては、元も子もありませんから、「梱包方法」も気をつけたいところです。
最近は便利なグッズも増えていますから、併せて紹介します。
また、持ち帰るワインの本数が多い場合、空港までの移動方法は「車」の利用を強くおすすめします。
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航空会社(追加荷物料金)
航空会社の追加荷物の料金は、「配送料・追加荷物料金の概要」の項で前述したとおりです。
この項では、料金に加えて、各社が定める「追加荷物」のルールが記載されたページリンクを貼付しましたので、必要に応じてご確認ください。
超過手荷物料金 20000円(国際線お預けのお手荷物 より)
ANA(全日空)
- 追加荷物 150€(超過手荷物料金(国際線)より)
Air France(エールフランス)
- 航空券に手荷物1個分が含まれている場合の追加荷物は、1個目に限り150€。
- それ以外の追加荷物は1個につき300€。
- オンラインで手荷物オプションを事前購入した場合、空港での料金に比べて20%以上割引(追加荷物 より)
航空会社の地上スタッフが「FRAGILE(割れ物注意)」のシールを預け荷物に貼ってくれたとしても、空港の貨物スタッフの荷物の扱いは「かなり粗い」です。せっかく持ち帰るワインが割れないよう梱包にも気を配りましょう。
ワインの梱包
フランスで購入したワインを搭乗する飛行機に乗せて日本へ持ち帰る場合、ワインの梱包をどうするかというのも、考える余地があるでしょう。
- 他の荷物と一緒にスーツケースに詰める
- 「ワイン専用スーツケース」に入れる
- 「ワイン専用ダンボール」に入れる
梱包に必要な資材(プチプチなど)や、文房具は、日本から持参することをおすすめします。日本で買う方が安価ですし、高品質なことが多いです。
- プラスチック製の緩衝材(プチプチ)
- ガムテープ
- はさみ (※必ず「預け荷物」の中に入れてください)
ワイン専用スーツケース
海外旅行でボトルを購入する頻度が高い方は「ワイン専用スーツケース」の購入を検討しても良いかもしれません。
オンボード・ボトルフライヤー・プロ(12本キャスター付)
12本収納可能なワイン用キャリーバッグ。
折り畳み可能なので、行きはスーツケースの中に入れて、帰りはバッグを組み立ててボトルを入れて持ち帰ることができます。
VinGardeValise ワイントラベルスーツケース
外観は「スーツケース」そのものですが、スーツケースを開くとワインボトルの形の穴が開いた緩衝材が詰まっています。
LAZENNE(ラゼンヌ) ワイン用スーツケース
ワインボトルの輸送に便利な商品を多く扱うメーカー「LAZENNE(ラゼンヌ)」のワインボトル専用スーツケース。
日本では取扱いがないので購入を希望する方は、「ネットで購入して宿泊先に送る」といった方法で入手すると良いでしょう。
ラゼンヌのワイン用バッグは、欧州のワインのプロには「ワインボトルを安全に運べるバッグ」として有名です。そのラゼンヌが、発売したワインボトル用スーツケースです。
ワイン専用ダンボール
ボトルごとに仕切られた「ワイン専用ダンボール」を調達してワインを持ち帰る方法もあります。
ダンボールは、たとえ折り畳んであったとしても嵩張るため、日本から持参するのはあまり現実的ではありません。
現地調達ということになりますが、箱をどこで入手するのかという問題が残ります。
そこで、わたしが知るベテランのシャンパーニュ愛好家のお客さんが使う方法を紹介しますので、よろしければ参考にしてください。
日本出発前
- フランスの通販サイトを通じて、ワイン12本専用ダンボールを必要な数だけ、日本から注文する。
- シャンパーニュで泊まる宿に予め連絡、注文したダンボールの受取・保管を依頼する。
フランスに到着後
- 宿にチェックイン、ダンボールを受け取る。
- 滞在中に購入したワインを、ダンボールに入れ、日本から持参したガムテープで梱包する。
シャルル・ド・ゴール空港に移動
- 帰国の日、予約しておいたハイヤー車(VTC)に、荷物とワイン入りダンボールを積んで、空港に移動する。
- 搭乗ゲートに近い車寄せで降車後、荷物をカートに乗せて、パブロで免税手続きを行う。
- 航空会社のカウンターで荷物・ダンボールを預ける。
フランスで買ったワイン、どんな方法で持ち帰っていますか?
— LaLaLaChampagne🍾 (@lalalachampagne) April 20, 2024
🇯🇵出発前に、🇫🇷オンラインショップでワイン専用ダンボールを注文、現地で受け取り、購入したワインを持ち帰るーーというのも1つの方法です。
写真は12本用箱。発泡スチロールで3本ずつ保護する方式。お客さまは無事持ち帰りできたそう😊 pic.twitter.com/fDT8Ry5rjk
他の荷物と一緒に詰める
他の荷物と一緒にワインやシャンパーニュのボトルをスーツケースに詰める場合は、次の3点に気を付けると良いでしょう。
- ボトルを1本ずつ包む
- ボトルを包むのは、衣服でもプチプチでもOK。
- 靴下やデニムの脚にボトルを通す方法もあり。
- スーツケースの内壁にボトルが触れないようにする
- 衝撃から守るために、スーツケースの内壁にボトルが直接触れないように詰める。
- スーツケースの底に衣服を敷くと、クッション代わりになり、ボトルへの衝撃を軽減できる。
- スーツケース内でボトル同士が触れないようにする
- ボトルが複数ある場合は互い違いに並べる。
- ボトルが直接ぶつからないように、さらに隙間に衣服やプチプチを詰めると良い。
わたしは「シャンパーニュボトルに衣服を巻き付けて、スーツケースに詰める派」です。幸いにもボトルが割れた経験はありませんが、心配な方は、梱包グッズを使うと良いでしょう。
ワイントラベル保護バッグ
バッグは、ボトル1本を入れるのにぴったりのサイズ。
バッグの内側にプチプチのような緩衝材があり、バッグの口を閉じれば、万が一ボトルが割れたとしても、液体がスーツケース内で漏れることはありません。
「繰り返し使用可能」「使用前は平らなので場所を取らない」のも、このバッグの利点です。
空港までの交通手段
持ち帰るワインが多い場合は、荷物の量・体力とと相談しつつ、空港までの交通手段を検討しましょう。
「車」移動がおすすめ
空港までの交通手段は「車」をおすすめします。
ハイヤー車を予約する際には、忘れずに「荷物の量」も伝えましょう。
乗客と荷物の数によっては、「バン」を予約する必要があります。
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TGVでの移動
シャルル・ド・ゴール空港への交通手段としてTGV(高速鉄道)を検討する方もいるでしょう。
着替え・ワイン等の入った「スーツケース」や、ワインの入った「ダンボール」を持参している場合、特にTGVの荷物の規定に触れることはなさそうです。
ただし、TGVに持ち込める荷物にはサイズ(最大で幅90cm x 高さ130cm)が定められています。
重さと個数に関する制限はありません。
帰国日当日に空港へ移動する場合、TGVはあまりおすすめしません。
- TGVの遅延・取消は珍しくない。飛行機に乗り遅れるリスクがある。
- TGVがホームに到着後、出発までの時間は意外と短い。荷物の上げ下ろしが大変なこともある。
- TGV車内の荷物置き場に、自分の荷物を置くスペースが見つからないこともある。
TGVにダンボールと一緒に乗車した際、荷物置き場に空きがなかったため、やむを得ず、荷物置き場の前(乗降口がある踊り場)に置きました。(1駅だけ・30分間だけの乗車なので大丈夫かな?)と思っていたのですが、「この荷物は誰のものですか!」と乗組員さんから注意を受けたことがあります。「テロ警戒・安全対策上NG」とのことでした。お気をつけください。
ワインを日本に【送る】
フランスで買ったワイン・シャンパーニュを日本に送る場合、配送業者は次の2つが一般的です。
- クロネコヤマト
- 郵便局(La Poste)
他にも配送業者はありますが、ワインショップ・ワイン生産者が日本向けに発送する際は、クロネコヤマトか郵便局の場合がほとんどです。
クロネコヤマト
フランスで買ったワインボトルを日本へ送る場合の「王道」と言って良い手段が、日本でおなじみ「クロネコヤマト」のヨーロッパ部門・欧州ヤマト運輸株式会社のサービス「ワインダイレクト」です。
梱包もしっかりしていて、早い時には帰国後数日で届くこともあり(※通常は帰国後2週間前後の受取を目安にすると良いと思います)、ワイン愛好家にはおなじみのサービスです。
下表は、ワインダイレクトで、フランスから日本まで送る場合の送料です。
パリ支店(Roissy)から送る場合は「パリ市内」の欄を見てください。
「クール便」は、日本到着後から配達まで荷物を冷蔵で取扱うサービスで、フランス国内では冷蔵輸送されません。
物価の上昇や為替の影響で、(免税されたとしても)ボトル代・送料の合計額が(日本で買う価格とあまり変わらないかも!?)ということもあります。送ることに迷ったら、「日本で入手可能なボトルかどうか」を1つの判断基準にすると良いかもしれません。
販売者(提携あり)で購入する
ワインショップにせよ、ワイン生産者にせよ、ワインダイレクトと提携している場合は、話が早いです。
ワインダイレクトでワインを送る場合の、手順は次の通りです。
- ワインダイレクト申込書に記入する
- すべてローマ字で記入する(申込用紙は日本語で書かれています)
- 代金を支払う
- ワイン代金(※免税の有無を確認する)
- 送料(販売者→ヤマト空港支店までの送料)
- 事務手数料(シャンパーニュを購入する場合「シャンパーニュ証明書」発行手数料を請求される場合あり)
- 申込書の控えを受け取る
- 帰国後、配送料の支払う・ワインを受け取る
- ワイン配達時にワインダイレクトの送料(パリ→日本分)を支払う
ワインダイレクト提携店(フランス)
販売者(提携なし)で購入する
地方のドメーヌ・ショップにてワインご購入の場合、ご購入先に、 弊社までの配達をご依頼下さい。不可の場合は弊社までご連絡をお願い致します。ワイン専用箱で梱包後日本のご自宅までお届けします。
欧州ヤマト運輸株式会社・公式サイト「ワインダイレクト」ページより引用
ワインダイレクトと提携のないワインショップやワイン生産者から購入したワインでも、クロネコヤマトを使って日本に送ることは可能です。
詳細は、クロネコヤマトにお問い合わせください。
郵便局(La Poste)
上の動画は、国際小包7kgを使って4本送る例を紹介した動画です。
フランスの郵便局(La Poste)からのボトルの発送は、個人的には、あまりおすすめしません。
おすすめしない理由は、主に次の3つです。
- 待ち時間が長いことが多い
- 英語は通じないと思っておいた方が良い
- 税関書類はネットで作成、印刷する必要がある
とはいえ、日本人のワイン愛好家の中にも、郵便局を活用している方も少なからずいます。長所・短所を天秤にかけて判断すると良いと思います。
ワイン免税範囲は3本、超過分関税は1本150円
- 日本に持ち込めるワインの免税範囲は3本、超過分は1本につき関税150円
- ボトル1本(750ml瓶)の重さの目安は、スティルワイン1,5kg、シャンパーニュ1,7kg
- 搭乗する飛行機にワインを預ける場合は、梱包に注意。専用グッズを使うのも良い方法
- 梱包に必要なプチプチや文房具は、日本から持参するのがおすすめ
- 持ち帰るワインが多い場合、空港までの移動は「車」がおすすめ
- フランスで買ったボトルの発送は、欧州ヤマト「ワインダイレクト」が有名
ランス・エペルネで品揃えの良いワインショップは、別記事で紹介しています。
飛行機の遅延・欠航や荷物の紛失・遅延に遭った場合、航空会社から補償金を得る権利があるかもしれないことを知っておきましょう。
飛行機移動の多い方なら、飛行機補償のサブスク「AirHelp Plus」の利用をおすすめします。
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