シャンパーニュ地方の旅行には、車があった方が絶対に便利です。
ランスやエペルネの市街を観光する分には、電車と徒歩で十分ですが、郊外のブドウ畑を訪ねる際には車は必要です。
車があったら便利なことはわかっていても「海外で運転するのは不安」だったり、「ワインを楽しみたいから運転はできない(したくない)」という方もいるはずです。
その悩みを一発解決するのが「ハイヤー車(VTC)」を利用することです。
運転手付の車があれば、シャルル・ド・ゴール空港の送迎はもちろん、ブドウ畑の周遊や、他のワイン産地への移動にも便利です。
筆者(シャンパーニュ地方在住10年超・シャンパーニュ生産者勤務)は、仕事でも、プライベートでも、ハイヤー車を何度も利用していますし、VTCの運転手・経営者と話す機会がたくさんあります。
実際の経験談を盛り込みながら、ハイヤー車の活用方法と予約方法を詳しく紹介します。
VTC(ハイヤー車)
VTCとは、Véhicule de Tourisme avec Chauffeur の略で、直訳すると「運転手付き乗用車」を意味します。
日本でいうところの「ハイヤー」です。
このVTCを前もって予約しておけば、指定の場所と時間に、運転手が迎えにきてくれます。
シャルル・ド・ゴール空港に到着して、荷物を受け取った後の出口の前で待っていてもらうことも可能です。
タクシーとVTCの違いは?
基本的には、日本でのタクシーとハイヤーの違いと同じです。
タクシー | VTC | |
---|---|---|
料金 | 距離と時間に応じる (到着しないとわからない) | 定額 (予約時にわかる) |
乗車方法 | 駅や空港などのタクシー乗り場、迎車 | 完全予約制 |
車の外観 | 車の屋根にTAXIのサインがある | 特にサインはなし、一般乗用車と同じ |
最大乗車人数 | 7人 (※運転手を除く。車両による) | 8人 (※運転手を除く。車両による) |
サービス | 特になし | ミネラルウォーター、新聞など |
VTCの良いところは、予め料金がわかることです。それ以上の金額を請求されることはありません。
VTCの見積・予約方法
VTCの一般的な見積・予約手順は、ざっくり次の通りです。
- VTC事業者を探す
- 見積を依頼する
- 予約する
- 予約を確認する
- 利用数日前に予約を再確認する
ざっくりとした流れを踏まえたところで、ステップごとに詳しく説明します。
インターネット検索が簡単です。
次の検索ワードで探せば、いろいろな事業者がすぐに見つかります。
- VTC Reims
- VTC Epernay
空港の送迎であれば、タクシー会社もVTCと同様のサービスを行なっていることもあります。
滞在先のホテルのフロントに依頼しても良いでしょう。
シャンパーニュ地方の地元VTC業者に依頼するのがおすすめ
シャルル・ド・ゴール空港に迎車を依頼する場合であっても、シャンパーニュに向かう予定ならば、ランスやエペルネなど、シャンパーニュが地元のVTC業者に依頼するのがおすすめです。
地元の運転手さんは、生産者の窓口やホテルのフロントとも直接顔見知りのことも多いので、いざという時に地元ならではの機転を利かせてくれることも珍しくありません。
また、ランス・エペルネ界隈のVTC運転手は、空港やパリ市内に行く機会が多いので、パリの運転にも比較的慣れています。
以前、某シャンパーニュ生産者で待ち合わせをした際に、パリのVTCに乗ったお客さんが大遅刻をしたことがありました。
その運転手さんに話を聞いたら「ナビを見ながら運転して来たけれど、シャンパーニュに来たことがないので村に到着してから迷ってしまった」と話していました。
事業者を見つけたら、ホームページの問合せフォームや、メールで見積を依頼します(仏語または英語)。
タクシーほど料金が規制されていないため、事業者により料金に多少の差があります。
シャルル・ド・ゴール空港からランス(またはエペルネ)まで、2人までの移動・一般的な4人用乗用車1台を依頼した場合、筆者の経験では、200~250€が相場の印象です(※2024年1月時点。ただし、荷物が大きい・多い場合は、「バン」になるため料金は上がります)。
まだ予約するかはわからない段階なので、「価格を知りたい」旨を伝れば大丈夫です。
見積の際は、次のことを記載すると良いでしょう。
- 利用予定日
- 迎えに来てほしい時間(※わからない場合は、「到着したい時間」を伝えても良いと思います)
- 出発地と到着地(例)シャルル・ド・ゴール国際空港からランス市街まで
- 乗車予定人数
- スーツケースの数
複数名で乗車を考えている場合は、スーツケースの数を伝えることをおすすめします。
VTC業者が適切なサイズの車を把握するための判断材料になります。
見積金額に納得ができたら、見積メールに返信する形で「予約をしたい」旨を送信しましょう。
予約時には、下記内容を記載すると良いでしょう。
- 予約者(あなた)の名前
- 合計乗車人数
- 迎えに来てほしい日時・場所(住所)
- 目的地の名称・住所
- (空港の場合は)到着便の番号
- フランスで連絡可能な通信手段(電話・メールなど。現地で運転手と必ず連絡可能な手段)
出発地・目的地が空港の場合は「空港名とターミナル」を伝えてください。
特に、空港に迎えに来てもらう際は「荷物を受け取って出口に着く」時間を想定して依頼しましょう。
飛行機の遅れや、道路の渋滞などで、稀に待ち合わせが時間通りにいかないこともあります。
そうした時のためにも、「到着便」を予め伝えておくことをおすすめします。
気が利く運転手さんならば、フライトの到着時間をチェックしてくれるので、対応がスムーズです。
「フランスで連絡可能な通信手段」は必ず必要です(大切なので、後述します)。
最終的に乗車できなかった場合でも、運転手側に不備がなければ料金は請求されるので注意してください。
予約依頼後、予約確認の返信が届いたら予約完了です。
依頼内容と料金に間違いはないか必ず確認してください。
疑問や変更がある場合は、曖昧なままにせず、業者に確認を取りましょう。
多くの場合、支払いは降車の際に「現金またはカード」で行います。
支払方法が明記されていない場合は、予め確認しておくと安心です。
支払時の紙幣・カードについて
紙幣:
・フランスでは、一般的に大きな額の紙幣を嫌います。
・VTCでは、50€の紙幣は受け取ってくれると思いますが、100€以上の紙幣は運転手によるかもしれません。
クレジット・カード:
・VISAとMASTERはどこでも問題なく使えます。
・上記以外のカード(AMEX、ダイナース、JCB等)を受付けないカード端末が多いです。
・携帯電話などのタッチ決済がうまく動作しないこともあるので、必ずカードも持参しましょう。
念を入れて、VTC利用数日前に、予約を再確認するとさらに安心です。
予約を再確認しておけば良かった…お客さまの苦い経験
夕方にシャルル・ド・ゴール空港に到着、前もって予約していたVTCに乗って、ジャック・セロスのホテル・レストランに直行、先着の友人グループと一緒に夕食を楽しむ予定でした。
しかし、予約していたVTCが、時間を過ぎても来ません。
運転手さんが、予約日時を間違っていたのです。
この場合、お客さんのミスでは一切ありませんが「日本を出発前に、予約確認の連絡をしておけばよかった…」と悔やんでいました。
VTCの利用を考えている方は、ご注意ください。
フランスで使える通信手段の準備
顔見知りの運転手さんから、日本人のお客さんのことで「困った!」という後日談をいくつか聞いたことがあります。
しかし、それが語学的な問題だったことはありません。
そのほとんどは、次のどちらかです。
- 「待ち合わせの場所に行ったけれどもお客さんが来ていない」
- 「連絡したけれどお客さんから返事がない」
予約時に入力した携帯番号が日本だけで使える状態では意味がありません。
必ず運転手さんと連絡が取れる通信手段を用意してください。
空港で無料Wifiに接続する方法もありますが、場所や時間を選ばずにインターネット接続を希望する方は、eSIMを利用すると便利です。
アプリ「Whatsapp」
日本でメッセージング・アプリといえば「LINE(ライン)」ですが、フランスでは「Whatsapp(ワッツアップ)」です。
タクシー・VTCの運転手さんも、よく利用しています。
予約する時に「Whatsapp」が使える旨を伝えておくと、運転手さんとの連絡がスムーズになると思います。
例えば、運転手さんから下記のようなメッセージが来るかもしれません。
出口で待ってます。
渋滞で10分ほど遅れますが、いま向かっています。
普段、LINEを使っている方なら、それほど違和感なく Whatsapp を使えると思います。
ダウンロードや詳しい使い方は、Whatsapp 公式サイト(日本語)で確認してください。
CDG空港に迎えに来てもらう場合
乗車当日の流れは、概ね次のとおりです。
- 搭乗便がシャルル・ド・ゴール国際空港に到着。
- 入国審査を経て、荷物を受け取る。
- 出口に出ると、運転手が予約者の名前が書かれた紙やタブレットを掲げて待っている。
- 運転手と一緒に、車の元へ向かう。
- 車に荷物を積み、乗り込んで、出発する。
- 到着地に着いたら、予約時に知らされた金額を車内で支払ってから降車する。
VTC活用例
CDG空港→シャンパーニュ地方
VTCを使えば、長時間フライトで疲れた後、乗換や荷物の心配もなく、スムーズな移動が可能です。
複数人で予約すると、TGVで移動するのと料金的にはあまり差がないほどの時もあります。
限られた休暇を最大限に使えるという意味でも魅力的です。
ランスやエペルネといった市街地だけでなく、車ならば街から離れた村に行くのも問題ありません。
ブドウ畑に至近のホテルや、生産者直営の宿泊施設に泊まるという選択肢も広がります。
早く簡単に予約したい方向け
車を日本語で早く・簡単に予約したい方には、観光ツアー予約サイト「Viator(ヴィアター)」をおすすめします。
Viator(ヴィアター)「パリまたは CDG 空港からランスまたはエペルネへの専用送迎」ページからVTCのネット予約が可能です。
日本語ページから予約可能なので、日時や費用などの条件が折り合うようでしたら便利です。
\ 日本語でわかりやすい! /
シャンパーニュ地方の周遊
例えば、ある日の午前から夕方まで、モンターニュ・ド・ランスの生産者を巡りたい場合、VTCを1日貸し切ることも可能です。
「ランスとエペルネの間の範囲内で、朝9時から18時まで貸し切る場合の料金は?」といった具合に見積を依頼しても良いでしょう。
オーブやブルゴーニュへの移動にも
ランスやエペルネから、オーブ地方またはブルゴーニュ地方に行くには、車移動がいちばん便利です。
電車移動の場合、パリを経由する必要があり、1日の大半を移動に費やしてしまうことになります。
その点、VTC移動ならば、ランスを朝9時に出発すれば、ボーヌのレストランで昼食を楽しむことができます。
- ランスまたはエペルネ→トロワ 約1時間30分
- ランスまたはエペルネ→ボーヌ 約3時間
語学的なハードルについて
フランス語を話せない、英語が苦手…といった、語学的なハードルを感じる人もいるかもしれません。
運転手さんは、英語を話せないことも多いですが、空港送迎サービスをしている人は、外国人観光客に慣れています。
業務範囲内のことならば片言の英語で対応してくれるはずです。
困った時には、翻訳アプリに頼っても大丈夫です(ちなみに、筆者はそういう欧米人観光客に山ほど会っています)。
まとめ
- ハイヤー車(VTC)があれば、快適な車移動が可能
- 空港送迎、周遊観光、ブルゴーニュへの移動などに便利
- 見積を取ってから予約できるので、それ以上請求されることはないので安心
- シャンパーニュ地方に向かうハイヤー車を予約するなら、ランス・エペルネ界隈の業者がおすすめ
- 運転手さんとの会話のやり取りで、フランス語・英語が難しければ翻訳アプリを使ってもOK
- フランスで運転手さんと確実に連絡の取れる通信手段を確保、予め伝えておくことが大切
シャルル・ド・ゴール空港からシャンパーニュ地方までの移動は「ハイヤー車」を強くおすすめしますが、他の交通手段と比較検討されたい方は、下の記事も併せてご覧ください。
VTCを使うと、電車が通っていない「村」にも行けるので、宿泊先の選択肢も広がります。
近年では、シャンパーニュ生産者が直営する宿泊施設が増えています。
フランス旅行の際に、便利なサービスは他にもあります。
飛行機の遅延・欠航に遭った場合、航空会社から補償金を得る権利があるかもしれないことを知っておきましょう。
飛行機移動の多い方なら、飛行機補償のサブスク「AirHelp Plus」を利用検討する価値は大きいです。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは,
大変わかりやすく、わくわくするサイトで参考にさせて頂いております!
そして、タクシーで行こうと思っておりました移動手段を、
ドゴール空港からREIMSまで、VTCを利用していこうと思います。
ただ、不安なのが、どこで待ち合わすのか・・・タクシーではないのでタクシー乗り場ではないのでしょうか?見積もりなどは返信ありましたが、他のことが心配です。
言葉もあいまいな為(仏英語ともに)、もしVTCの乗り場、待ち合わせの仕方が一応あるようでしたら、お教えいただければ有難いです!
よろしくお願い致します。
こんにちは。
お役に立てているようでしたら、うれしいです。
ありがとうございます。
VTCの待ち合わせ場所は「運転手さん次第」です。
不安を感じるようでしたら出発前に
「どこで待っていてくれますか?」と問合せるのがいちばんです。
わたしの経験では、VTCの予約時間前に、
運転手さんから電話またはメッセージで連絡をもらうことが多いです。
その時の連絡で「待ち合わせ場所」がわかります。
次のような待ち合わせ場所が多いと思います。
・荷物を受け取った後の「出口」
・「XX番のゲート前」(空港の建物を出る出口=ゲートには番号がふられています)
・「VTC」の駐車場(注意深く見ると掲示されています)
待ち合わせ場所で、
予約者の名前を書いた紙かタブレットを掲げているパターンもあれば、
ふらっと近づいてきて「xxさんですか?」と予約者の名前を聞かれるパターンもあります。
大事なことは、【運転手さんと現地で連絡しあえる連絡手段】を
伝えておくこと・持っていることです。
英語・フランス語で話すことが不安であれば、
電話ではなくメッセージをくださいを前もって伝えておいても良いと思います。
楽しい旅になりますように。