この記事は、こんな方におすすめです。
- シャンパーニュ地方への旅行を計画している
- シャンパーニュ地方で生産者訪問を考えている
- シャンパーニュ地方で個性的な宿泊先を探している
シャンパーニュ地方を旅行しようとなった時、どんな場所に泊まりたいですか?
サービスや立地の良いホテル・B&Bもあれば、暮らすように過ごせるアパルトマンという選択肢もあります。
2015年7月に「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」がユネスコ世界遺産に登録されて以降、シャンパーニュ地方のワイン・ツーリズム(ワイン観光)は活気づいています。
シャンパーニュ生産者が直接運営するホテルやB&Bが増えています。
シャンパーニュ生産者の宿ならではのサービスを用意しているところもあります。
- ウエルカム・ドリンクは、自社シャンパーニュ(寝室の冷蔵庫にボトルが冷えていることも!)
- 宿泊者限定のドメーヌ案内・試飲
また、単純に生産者の宿は、シャンパーニュの街や、ブドウ畑のそばという立地ですから、シャンパーニュ生産者の空気を直接感じるということ自体が醍醐味といえそうです。
シャンパーニュ地方在住・生産者勤務現職の筆者が、シャンパーニュ生産者が直営するホテル・宿15軒を紹介します。
ランス
ランス市街には、セラー見学・試飲可能なシャンパーニュ生産者は多くありますが、宿泊施設を持つ生産者は限られています。
シャルル・エドシック、パイパー・エドシック、レア
レジデンス・アイゼンハウワー(la Résidence Eisenhower)は、次の3つのシャンパーニュ生産者のオーナー、EPIグループのデスクール家(La famille Descours)が2016年に購入した建物です。
- シャルル・エドシック(Champagne Charles Heidsieck)
- パイパー・エドシック(Champagne Piper-Heidsieck)
- レア(Champagne Rare)
ひとつのシャンパーニュ銘柄が運営している宿泊施設ではありませんが、同一のオーナーによる運営です。
ボー・ザール、アール・デコ、ルイ15世、ルイ16世の影響を受けた価値を損なわないように、数年かけて修復後、宿泊施設として一般公開されました。
レジデンス・アイゼンハウワーの名前は、第二次世界大戦中、1945 年 5 月 7 日にランスでドイツ降伏の調印が行われるまでの数か月間、建物がアイゼンハウワー将軍(NATO軍最高司令官、第34代アメリカ合衆国大統領。Dwight David Eisenhower、1890-1969)の滞在先として使われたことに由来します。
ランディ通り(boulevard Lundy)は、ルイ・ロデレールやクリュッグの本社もある、ランスの中でも高級感のあるエリア。
歴史ある邸宅で贅沢な時間を過ごせそうです。

3銘柄のセラー見学は一般公開されていませんが、宿泊者には門戸が開かれるチャンスがありそうです。
エペルネ
エペルネ・シャンパーニュ通り(Avenue de Champagne)には、シャンパーニュ生産者の宿泊施設が集中しています。
A. ベルジェール
ベルジェール(Champagne A.Bergère)は、エペルネに3軒の宿泊施設を持っています。
シャンパーニュの生産設備は、エペルネにはありません。
ドメーヌは、エペルネの南西、27km離れたフェールブリアンジュ(Fèrebriange)という村にあります。
ベルジェールの1軒目の宿は、「シャンパーニュ・アンドレ・ベルジェール」。
シャンパーニュ通りにある、シャンパーニュ生産者による宿泊施設の多くは、2015年7月「シャンパーニュの丘陵、メゾン、カーヴ」が世界遺産登録された後にできたものですが、このシャンパーニュ・アンドレ・ベルジェールは、それ以前からあります。
シャンパーニュ通りの中腹にあるアンドレ・ベルジェールのテラス席は、エペルネを訪れる観光客の人気スポットのひとつ。
観光客を迎える営業が終わった後に、宿泊客がテラス席でゆったりとシャンパーニュを楽しむ姿をよく見かけます。
シャンパーニュ通りにある多くの宿泊施設は駐車場を持っていませんが、シャンパーニュ・アンドレ・ベルジェールは、高い壁で囲まれた駐車場が敷地内にありますから、車で来る方にとっては安心です。

世界のシャンパーニュ愛好家の中には「エペルネに来たら必ずココに泊まる」と定宿にしている方も少なくありません。
シャンパーニュ・アンドレ・ベルジェール(Champagne André Bergère)
40 avenue de Champagne 51200 Épernay
ベルジェールの2軒目の宿泊施設は、シャンパーニュ通りのほぼ入り口、エペルネの中心街に寄った場所にある「ラ・カーヴ・ド・ラヴニュー」です。
下のインスタグラムの投稿写真の看板が目印。
街の中心・レピュブリック広場(Place de la République)からシャンパーニュ通りに入り、左側の歩道を歩くとすぐにわかります。
1階は、同名のワインバーで、同じくベルジェールによる経営です。
宿泊者は、このワインバーで朝食を取るそうです。

シャンパーニュ通りにありながら、エペルネ駅からも、レストラン・商店が集まるエリアからも近い好立地です。
ラ・カーヴ・ド・ラヴニュー・ド・シャンパーニュ(La Cave de l’Avenue de champagne)
5 Avenue de Champagne 51200 Épernay
ベルジェールの3軒目の宿泊施設は「シャンパーニュ・アンドレ・ベルジェール・ビス」。
住所はジャン・モエ通り(rue Jean Moët)ですが、シャンパーニュ通りとつながるレピュブリック広場(Place de la République)を曲がってすぐの場所にあります。
前出の「ラ・カーヴ・ド・ラヴニュー」よりも、さらにエペルネ駅に近い場所にあります。
シャンパーニュ・アンドレ・ベルジェール・ビス(CHAMPAGNE ANDRE BERGERE Bis)
6 Rue Jean Moët 51200 Épernay
ルクレール・ブリアン
シャンパーニュのプロ・愛好家の間では有名な醸造家、エルヴェ・ジュスタン(Hervé Justin)氏がオーナー兼醸造責任者を務めることで知られる「ルクレール・ブリアン(Champagne Leclerc Briant)」。
生産拠点と所有ブドウ畑の一部はエペルネ市内にありますが、西側の高台にあります。
シャンパーニュ通りにあるルクレール・ブリアンの建物の1階は直営ショップ、2階はB&Bになっています。

あるお客さまは「朝食にもシャンパーニュが用意されていて、シャンパーニュで朝からシャンパーニュが飲めて最高に幸せでした!」と興奮気味に話してくれました。
ド・ヴノージュ
青いラインが描かれたラベルの「コルドン・ブルー」、カラフの形をした独特のボトルに入った「プランス」「ルイ 15世」のシャンパーニュを生産するド・ヴノージュ(Champagne de Venoge)。
オフィスと地下セラーを備えたメゾン(建物)と同じ敷地内には、B&B「レ・シュイット・デュ・トラントトロワ(Les Suites du 33)」と、ブティック兼ティスティングルーム「レキュリー(l’Ecurie)」があります。
B&Bは、寝室4室、アパルトマン形式の部屋(6人まで宿泊可能)1室です。
レ・シュイット・デュ・トラントトロワ(Les Suites du 33)
33 avenue de Champagne, 51200 Épernay
ミシェル・ゴネ
シャンパーニュだけではなく、ボルドーにも複数のシャトーを所有・ワイン造りを行う「ミシェル・ゴネ(Champagne Michel Gonet)」。
アヴィーズ村にあるドメーヌとは別に、シャンパーニュ通りに所有するメゾンで宿泊客を迎えています。
ヴィラ・シニョル・バイ・ミシェル・ゴネ(Villa Signolle by Michel Gonet)
37 avenue de Champagne, 51200 Épernay
エロディー・デ
モンターニュ・ド・ランス、エクイユ村にドメーヌを構えるエロディーD(Champagne Elodie D.)は、家族経営のレコルタン・マニピュラン(ブドウ栽培からワイン醸造まで一貫して行うシャンパーニュ生産者)。
エロディーの名前の通り、女性生産者です。
メルシエ(Champagne Mercier)の真正面にある建物がエロディーDのB&B。
もともと、メルシエ創業者ユージェーヌ・メルシエ(Eugène Mercier, 1838-1904)の私邸として作られました。
B&Bは、6人宿泊可能なアパルトマン形式の部屋を含む計5室。
エロディーさんは、鶏を飼っていて、宿泊客向けの朝食に産みたての新鮮な卵を使用しています。
ちなみに、鶏は観光シーズンはエペルネで、オフシーズンはエクイユ村のブドウ畑で過ごすそうです。

敷地内でレストラン開業に向けて工事中です(2023年7月現在)。ご主人とお話しした際「ワインリストは、シャンパーニュだけではなく、フランスの他地方のワインも充実させたい」と仰っていました。
ラ・ドゥムール・デロディー(La Demeure d’Elodie)
73 avenue de Champagne, 51200 Épernay
コート・デ・ブラン
ジャック・セロス(アヴィーズ)
シャンパーニュ生産者の宿で、最も人気が高い「レ・ザヴィゼ(Les Avisés)」。
有名生産者「ジャック・セロス(Champagne Jacques Selosse)」直営のホテル&レストランです。
ここに来るために、シャンパーニュ地方を旅するというワイン愛好家も大勢います。
週に数回、ホテル宿泊者を対象としたドメーヌ訪問&シャンパーニュ試飲(有料)が行われています。
ただし、決まった曜日に必ず行われるという訳ではなく、セロス家(アンセロムさん、ジェロームさん)の予定次第で行われないこともあります。
「数ヶ月前からホテルを予約して、ドメーヌ訪問を楽しみにしていたのに、宿泊当日は行われなかった」(涙)という経験談を何度か聞いたことがあります。

宿泊者向けのドメーヌ訪問&試飲は(宿泊当日に開催されたらラッキー!)くらいの心持ちでいた方が良いかもしれません。
ドワイヤール(ヴェルテュ)
人気生産者がいくつもドメーヌを構える、コート・デ・ブランのプルミエ・クリュ「ヴェルテュ(Vertus)村」。
ドワイヤール(Champagne Doyard)も、ヴェルテュの人気生産者のひとつです。
シャルドネ100%のブラン・ド・ブランを中心に生産していますが、珍しい「ドゥー(Doux=極甘口)」の造り手でもあります。
ル・クロ・マルゴ(Le Clos Margot)
39 Avenue General Leclerc 51130 Vertus
フレール・ミニョン(クラマン)
若い生産者ですが、世界のシャンパーニュ愛好家からは熱い視線が注がれている生産者「フレール・ミニョン(Champagne Frère Mignon)」が経営する宿です。
宿は、ドメーヌと同じく、グランクリュのクラマン(Cramant)村にあります。
「ミニョン兄弟」を意味する名前が示すとおり、シャンパーニュ造りは兄弟で行っていますが、宿の運営は兄ジュリアンさんと奥様が行っています。
ジャグジー付8〜12人用宿(Gîte 8 à 14 personnes en Champagne avec jacuzzi)
253 Rue du Général de Gaulle, 51530 Cramant

広いジャグジーや大勢で囲める長いテーブルがあり、グループ旅行におすすめのB&Bです。
モンターニュ・ド・ランス
ニコラ・マイヤール(エクイユ)
『8000 Champagnes』の著者であり、シャンパーニュの専門家として知られる、スウェーデン人のRichard Juhlin氏が選ぶ「2021年度最優秀シャンパーニュ生産者」に選ばれた、二コラ・マイヤール(Champagne Nicolas Maillard)。
モンターニュ・ド・ランスのプルミエ・クリュ、エクイユ(Ecueil)村にあります。
夫妻でアパルトマン形式の宿「クロ・1753」(最大8名宿泊可能)を所有、宿泊客を迎えています。
「宿泊時にボトル1本サービス」の特典を謳っています。
クロ・1753(Clos 1753)
5 Rue de Villers aux Noeuds 51500 Écueil
パルメ(シニー・レ・ローズ)
シャンパーニュの品質が高いことから「パルメ(Palmer)」の名称使用について、ボルドー「シャトー・パルメ(Chateau Palmer)」からお墨付きをもらったというエピソードを持つ、シャンパーニュ・パルメ(Champagne Palmer)。
シャンパーニュ造りのためのブドウを供給する畑・合計415haのうち、200ha以上がモンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュとプルミエ・クリュに占められています。
自然の中にあるエレガントな趣のホテル「ゲストハウス・ドメーヌ・デュ・シャレ」で、宿泊客は、専属シェフによる食事を楽しむこともできます。
食事を希望する場合は、宿泊予約の際に希望を伝えた上で、詳細を確認してください。
ゲストハウス・ドメーヌ・デュ・シャレ(Guesthouse Domaine du Chalet)
26 rue du Chalet, 51500 Chigny-les-Roses
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ
アンリ・ジロー(アイ)
シャンパーニュ地方を旅する日本人観光客にとって、屈指の人気訪問先と言える「アンリ・ジロー(Champagne Henri Giraud)」。
アンリ・ジローが、満を持してオープンした宿が「マノワール・アンリ・ジロー&スパ」です。
スパの名前のとおり、プール、ジャグジー、マッサージの設備・サービスを備えています。

アンリ・ジローには、観光客向けに「食事とシャンパーニュのペアリング・プラン」(有料)があります。希望する方は、ホテル予約時にその旨を伝えると良いでしょう。
ラ・パルセル(コニジ)
山羊が描かれたラベルが印象的な「ラ・パルセル(Champagne La Parcelle)」。
ブドウ栽培のプロとしてキャリアを積んだカップルが、2012年に設立したドメーヌです。
ラ・パルセルのあるコニジ(Connigis)村は、エペルネから西に40kmほど離れた場所にあります。
宿は「ラ・カバーヌ(La Cabane)」の名前が示すとおり、水辺にある「小屋」。
自然にどっぷりと浸ることができそうな宿です。

初リリースされた時、わずか数百本の生産量にも関わらず、シャンパーニュのプロや熱心な愛好家の間でとても話題になったことを覚えています。BIOシャンパーニュが好きな方には、特に興味深い宿だと思います。
ラ・カバーヌ(La Cabane)
31 Hameau de Launay 02330 Connigis
まとめ
- シャンパーニュの世界遺産登録以降、シャンパーニュ生産者が運営する宿が増加中
- シャンパーニュ生産者ならではのサービス(ウエルカム・シャンパーニュ、ドメーヌ案内・試飲など)がある場合も
シャンパーニュ生産者直営の宿は、ほかにもたくさんありますが、宿の立地や生産者の日本における知名度などを考慮して、筆者が選んで紹介しました。
シャンパーニュ生産者の直営のホテル・B&Bが増えていますが、シャンパーニュ生産者による食事の提供・レストランの運営も増えています。
日帰り旅行の方もシャンパーニュと食事のペアリングは楽しむことが可能です。
詳しい情報は、下の記事をご覧ください。

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