パリを旅する時「せっかくフランスに来たのだから、パリ以外の田舎にも行ってみたい」「パリから気軽に行けるワイン産地はないかな?」と思う方もいるのではないでしょうか。フランスの銘醸地のひとつ、シャンパーニュ地方は、パリから日帰り旅行が可能なワイン産地です。
パリから電車に乗れば、ランスまで最短45分、エペルネまで最短1時間20分で来ることができます。
シャンパーニュ地方の旅の拠点となる2つの街、ランス(Reims)とエペルネ(Epernay)への行き方を、交通手段(電車・車・バス)ごとに、費用・予約方法・注意点なども含めて、できる限り詳しく紹介します。
旅行や出張でパリに滞在する予定がある方は、この記事を参考に、シャンパーニュ地方への旅をぜひ計画してみてください。
日帰り可能!パリからランス&エペルネへの行き方
おすすめは「電車」移動
パリからシャンパーニュ地方のランスまたはエペルネに行く時は、「電車」での移動をおすすめします。それは、「早くて(比較的)安いから」です。
パリからランス・エペルネまでの交通手段の概要
パリから出発してランスまたはエペルネへ向かう際の交通手段の概要を、下表にまとめました。
パリからの交通手段 | ランスへ | エペルネへ |
電車 | TGV(高速鉄道)で45分 運賃:変動(安いときは20€台or以下) | TER(ローカル線)で1時間30分 運賃:27,10€(2023年1月現在) |
高速バス | 1時間40分 運賃:変動(安いときは10€以下) | なし(2023年1月現在) |
車(タクシー・ハイヤー) | 1時間30分~(交通状況による) 運賃:平日200€超(業者による) | 1時間45分~(交通状況による) 運賃:平日200€超(業者による) |
電車
出発駅は、パリ東駅

電車移動の場合、パリの出発地はパリ東(Paris-Est)駅です。目的地がランスかエペルネかに関わらず、同じです。
切符の購入
電車について知っておきたい2つの注意点
1)電車の時刻表は、3パターンある(平日、土曜、日曜・祝日)
電車の時刻表は、以下の3パターンあります。
- 平日(月~金)
- 土曜日
- 日曜&祝日
1日の運行本数が非常に限られているため、1本電車を逃してしまうと次の電車は数時間後ということもあります。往復の電車時刻をよく調べて旅の計画を立てることをおすすめします。
2)ストライキや事故による電車の「遅延」「取消」は日常茶飯事
日本では電車は確実な交通手段というイメージがありますが、フランスでは違います。SNCF(フランス国鉄)は日常的に遅延も多く、職員のストライキによる運行取消も珍しくありません。脅かすつもりはありませんが、知っておいた方が良いと思います。運悪く遭遇してしまった場合は、別のルート・交通手段の利用も検討しましょう。
【パリ発→ランス着】TGV(高速鉄道)で約45分
パリからランスまでの電車移動は、TGV(高速鉄道)です。
所要時間は約45分、パリ東駅で乗車後、次の駅がランス駅です。
片道の運賃は、時期や混雑状況により変動します。通常30€以上、25€以下だと安く感じる印象です。
- TGV(高速鉄道)
- 乗車時間 : 約45分
- 運賃:時期や混雑状況により変動(安い時は25€以下の時も)
- ランス市街にある駅。
- ランス中央(Reims-Centre)と表記・表示されることもある。
- ホームにエレベーターあり。
- 出口は2つ。
【パリ発→エペルネ着】TER(ローカル線)で約1時間半

パリからエペルネの電車移動は、TER(ローカル線)です。
片道・2等車の正規運賃は、27,10€です(2023年1月現在)。
- TER(ローカル線)に乗車。
- 乗車時間 : 約1時間20分
- 運賃:27,10 €(片道・2等車の正規料金。2023年1月現在)
- エペルネ市街にある駅。
- 駅構内にエレベーター・エスカレーターなし。
- 出口は1つだけ。
- シャンパーニュ通り(Avenue de Champagne)まで徒歩5分程度。
車(タクシー、ハイヤー)

パリからの車の移動は、レンタカーの利用を除けば、次の2つの選択肢があります。
- タクシー
- ハイヤー(VTC:Véhicule de Tourisme avec Chauffeur の略。運転手付き乗用車)
所要時間の目安は次のとおりです。
- パリからランスまで、1時間30分~
- パリからエペルネまで1時間45分~
あくまで順調に走行できた場合の目安です。パリでは市内・近郊で渋滞が多いため、車移動の場合、2時間超かかると思っておいた方が良いかもしれません。
車移動という点ではどちらも同じですが、メーターで運賃を計算するタクシーよりも、見積料金以上の運賃はかからないハイヤーの方が、支払の面では安心かもしれません。
乗車・予約
- タクシーの場合は、駅前などのタクシー乗り場まで行くか、電話で呼び出し
- ハイヤーの場合は、電話やメールで予約
タクシー会社がタクシーとハイヤーを兼業していることもあります。出発地と目的地を正確に伝えて、見積料金を取ることをおすすめします。平日と休日の料金は違う点も注意してください。ホテルに滞在している方は、ホテル受付に車の手配を頼むのも、ひとつの方法でしょう。
多くの場合、タクシーまたはハイヤーの車内でカードでの支払が可能です。基本的に、ビザとマスターは問題なく使えると思います。ただし、アメリカン・エクスプレス、ダイナース、JCBのカードは使えない場合がほとんどかと思います。心配な方は、事前に確認してください。

ロンドンからユーロスターに乗車してパリに到着。その後、パリからエペルネまで電車で来る予定だったものの、運悪く、パリでSNCF(フランス国鉄)のストライキに遭遇。急遽VTCを手配して、なんとか無事にエペルネまで到着できたーーというお客さんにお会いしたことがあります。
高速バス
バスでの移動は、乗車時間は長いものの運賃が格安です。時間を気にする必要のない旅のスタイルなら、高速バスはとても良い手段かもしれません。乗用車での移動と同様に、パリ市内・近郊は非常に渋滞するので、3時間近くかかることも考えられますので注意してください。
「ランス行き」のバスといっても、到着場所は「シャンパーニュ・アルデンヌTGV駅」です。ランス市街まで約8km離れているので、その後の交通手段について考慮しておく必要があります。
なお、「エペルネ行き」のバスはありません(2023年1月現在)。
乗車券の予約方法
【パリ・ベルシー駅発→シャンパーニュ・アルデンヌ駅着】バスで1時間50分
- 高速バス乗車。
- 乗車時間:1時間50分
- 乗車運賃:時期と混雑状況により変動。安いときは1桁の場合も(3€を見たことがあります)。
- シャンパーニュ・アルデンヌ駅は、ランス市街地から約8km離れた立地。

パリから日帰り旅行する時に気を付けたい、3つのポイント
電車時刻に気を付ける
当たり前と思うかもしれませんが、多くの観光客が見落としがちなポイントです。特に「週末(土・日・祝)」の運行ダイヤはよく確認してください。思っている以上に、電車が少ないと感じることもあるかもしれません。
さらに「ランスとエペルネ両方の街を1日で巡る」ことを考えている方は、ランス~エペルネ間の時刻表をよく確認して旅の計画を立てましょう。ランチの時間帯と、電車の発着時刻との相性があまりよくないので注意が必要です。
シャンパーニュ生産者の見学の予約&立地確認をしておく
ランスやエペルネを訪れた際には、シャンパーニュ生産者のカーヴ(蔵)の見学を希望する方も多いと思います。「生産者に直接行けばなんとかなるだろう」と考える方もいますが、当然のことながら見学できるかどうかは予約状況次第です。「せっかくシャンパーニュ地方に行ったけれど、カーヴの見学ができなかった」と後悔することがないように、事前準備を忘れずに。
また、ランスの大手シャンパーニュ生産者の見学を希望する方は、ランス駅から見学場所までのアクセスも事前に確認しておいてください。人気の見学先、テタンジェ、ヴーヴ・クリコ、リュイナール、ポメリーなどは、駅からのタクシー利用が一般的です。
エペルネで観光客向け見学を行っている大手シャンパーニュ生産者は、シャンパーニュ通りに集中しているので、エペルネ駅から徒歩圏内です。
ランチ店を予約しておく
昼食のレストランは、できるだけ予約しておきましょう。平日であれば、ふらっと気が向いた店に入るということもできますが、観光客で込み合う週末は、予約をしておくことを強くおすすめします。
ランスやエペルネは街といっても、やはり「地方」です。日曜・祝日にランチ営業する店は非常に限られています。
また、ランチの営業時間は基本的に多くの店が12~14時の間です。13時半にラストオーダーということもあります。
昼食と夕食の間の時間帯に、ちょっとした軽食の選択肢もかなり限られています。その点も注意してください。
まとめ
パリからシャンパーニュ地方への移動には「電車」をおすすめします。運賃も比較的手頃で、早いからです。
朝にランスに到着すれば、午前中にランス大聖堂を訪れて、午後にエペルネのシャンパーニュ通りを歩くことも可能です。
シャンパーニュ(地方)で飲むシャンパーニュ(のワイン)は格別の味わいです。パリに旅行する際は、ぜひシャンパーニュまで足を延ばしてみてください。
なお、シャンパーニュ地方に行くことが一番の目的という場合には、パリを経由する必要はありません。シャルル・ド・ゴール空港から直接シャンパーニュ地方に向かう方が便利です。別の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

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